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歯肉が下がって気になる(歯肉の退縮)

最近、歯の根元がすいてきた。歯が長くなってきた気がする。歯の間にすきまができてモノがつまる。 など、歯肉が下がって気になる方へのお話です。

どうして歯肉が下がるの?

主な原因は4つあります。

①加齢

②歯周病

③間違った歯みがき

④くいしばり・歯ぎしり

原因① 加齢

上の写真は15歳中学生。歯肉がすきまなくピッタリとあります。とても良い状態です。

多くの方はこのような歯肉の状態を「健康な良い歯肉」とイメージしていらっしゃると思います。

この写真は30歳の女性。下の前歯の歯肉が少しすいてきています。

でもこの方も歯周病はなくとても良い状態です。

このように歯周病がなく健康な状態でも加齢により多少、歯肉が下がることがあります。

皮膚のハリを維持するためにコラーゲンが大事な役割を果たしているのですが、

歯肉も肌の一部であり、歯肉を構成する60%はコラーゲンです。

加齢による歯肉のコラーゲンの減少が、歯肉が下がってくる一つの要因でもあります。

原因② 歯周病

上の写真は歯肉が下がってはいませんが、腫れて歯周病になっている状態です。

下の写真は同じ方ですが、歯みがきをていねいにして頂き、歯周病が改善した状態です。

歯肉がすいて少し下がっていますね。でも健康な良い状態です。

このように歯周病になって治った状態の歯肉は、歯肉の下の骨の位置によって歯肉が下がることが多いです。
腫れている歯肉・出血する歯肉は、歯周病菌が大好きな場所。

このような歯肉の状態は、歯周病が治らず悪くなっていく一方です。

歯周病でなぜ歯肉が下がるの?

■歯を支えている骨がなくなって歯肉を下げる

■歯周病は歯肉のコラーゲンを減少させる

■初期の歯周病なら進行を止められる

歯周病の詳しい説明はあわせてこちら(歯周病について)もお読みください


■歯を支えている骨がなくなって歯肉を下げる

歯周病菌は歯肉ポケットの中でプラークを栄養にしてどんどん増えていきます。

歯周病菌が出す酵素によって歯を支えている骨・組織を溶かし、やがて歯周病へと進んでいきます。

歯を支えている骨が溶けてしまうと、歯肉は少しずつ下へと退縮。やがて歯が失われていくことになります。

■歯周病は歯肉のコラーゲンを減少させる

歯周病を長くわずらうということは、歯周ポケットの中で長期的に炎症があるということ。

歯周ポケットの中での炎症のくりかえしは、歯肉の中にあるコラーゲンを徐々に減少させていきます。

コラーゲンは肌のハリを維持するための大事な成分。

歯肉も肌の一部なので、減少することによって歯肉も下がっていくことになります。

■初期の歯周病なら進行を止めることが可能

歯を支えている骨がとけるのも歯肉のコラーゲンの減少も、いずれも歯周病が大きな原因。

歯肉を下げないようにするためには、歯周病を予防することが大事です。

歯周病予防のポイントは、歯周病の初期症状を見逃さないこと。

歯肉が赤く腫れて盛り上がる歯肉炎という症状が、歯周病の初期症状です。

この段階で適切な対処をすれば、その後、本格的な歯周病へ発展することを食い止めることが可能です。

原因③ 間違った歯みがき

■強い力で歯みがきする

強い力でゴシゴシみがくことで、やわらかい歯肉に刺激がいき、毎回、力が加わることによって歯肉が下がっていってしまいます。

また強い力でゴシゴシみがくと、かえって歯垢(プラーク)は落ちません。

プラークの中にもたくさん歯周病菌がいるので、プラークが落ちないと歯周病は治っていきません。

かたすぎる歯ブラシでゴシゴシするのではなく、適切な力でみがきましょう。

現在、歯周病で腫れや出血のある方はやわらかめの歯ブラシがおすすめです。

くいしばりや歯ぎしりが原因で歯を支えている骨が溶けたり歯が揺れたりする症状のことを

専門的には咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)と言います。

骨がなくなってしまったところは歯肉も下がってしまいます。

くいしばり・歯ぎしりをしてしまう方は要注意です。

■咬合性外傷とは

一般に、骨は硬くて丈夫なものというイメージがあります。

しかし骨の内部を顕微鏡でみると、まるでスポンジの中のような網目状で、網目の中には無数の空間があります。

ここに強い力が加わると、空間は押しつぶされ骨が徐々にとけてしまいます。

この現象が歯を支えている骨で起こることを咬合性外傷と言います。

歯ぎしり・くいしばりの詳しい説明はこちら(歯ぎしり・くいしばりについて)もお読みください

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